【Interview】京都市京北と薬草づくり〜サステイナブルな社会を開く、アミタグループの挑戦•前編〜

2015.08.06

薬草(生薬)づくりは、これからのローカルのお仕事としてきちんと成り立つのでしょうか?

まさに、それを宮城県南三陸エリアと京都市北部の京北(けいほく)エリアで実践していらっしゃる(株)アミタ持続可能経済研究所(以下、アミタ持続研)の松本洋俊さんに、現場をご案内いただくことになりました。

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—アミタグループは産業廃棄物リサイクルから事業をスタートされていますよね。
地域資源循環(未利用資源の利活用)を見つめる…という主幹からの流れだと思うのですが、
なぜ町づくりに取り組まれるようになったのですか?

現在も100%リサイクルサービス(資源循環)を含めた企業の環境戦略支援サービスをメインにしながら、アミタ持続研では薬草栽培の技術開発などをはじめとする、自立した地域づくりの支援を含めた地域デザイン事業の開発を行っています。
事業が発展すればするほど、自然と人間関係が良くなっていくような事業で持続可能な社会を作ることが目標です。地元に根差した事業を展開していくために、ここ京北にもオフィスと常駐メンバーを設置し、地域密着型の仕事を進めています。

−未来の社会が無理なく、無駄なく、豊かであるために、先駆けて投資と市場開拓をしていらっしゃるのですね。
それが同時に、現在の過疎や貧困やゴミ、エネルギーなどの社会問題の解決にもつなぐことができる。

薬草のような未利用資源を活かして自営力のある地域をつくることも、その一つですね。

—なぜ、ビジネスモデルとして生薬を選んだのでしょう?

ある調査報告によると、漢方薬の市場は1,300億円と言われています。しかし、市場は成熟していて、取扱も難しく、新規参入が難しい状況です。
一方で,漢方派生商品といわれる健康食品、サプリ、ドリンクや、入浴剤や化粧品などの漢方周辺市場規模は2兆円以上だとされ、比較的自由度のある市場ですので、非常に魅力的です。
実は漢方薬の原料となる生薬(薬草)の多くは、現在主に中国からの輸入に依存しています。国内での薬草栽培を促すことで、チャイナリスクを是正すると同時に、耕作放棄地の活性化にもつなげたい考えです。今後国内で生薬が不足する事態が予測されるので、良質な原料を安定的に供給するための技術開発と仕組みづくりを意識しつつ、先ずは薬草を使った食品や日用品の原料生産をしながら、その市場に関わっていこうとしています。

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【当帰の苗が植わった京北の畑(6月中旬)】

—生薬はたくさんの種類がありますが、当帰を選んだ理由は何でしたか?

女性のための漢方の中でも、非常にメジャーで有用なものだからですね。
からだを温める効果もあるとされており未病にもつながるので、非常に強いニーズがあります。

国産高麗人参の栽培も最近始めましたよ。
こちらは滋養強壮の効果があるので、シニア世代に非常に人気があります。
水耕栽培のような屋内施設を使いながら,安定して収穫できるように実験しているところです。

−当帰の栽培は、どのようにされていますか?

地元の農家さんに育てていただいております。
90代のおばあさんも積極的に楽しんで取り組んでくれるほど、農作業を簡略化しています。
葉の栄養分が一番高くなる夏季に収穫し、乾燥してパウダーなど に加工してサプリなどの原料になったり、 お菓子やパンに使われたりしています。

実は、当帰の種を蒔いてから2年で収穫するのが江戸時代からの栽培手法ですが、我々は1年で収穫ができる技術を開発しました。

−その1年は農家さんにとっては大きいですね。時間の投資を少なくできる。
根っこの収穫もしていらっしゃるのですか?

当帰の根は「薬」であり国によって薬価が決まっており、あまり高くは売れません。
それ故に当帰の国産商品は生薬の中では多い方ですが、まだまだ中国からの輸入ものが商品の大半を占めているのが現状ですね。
その分、「食」利用が可能で、売るのにも自由が効く葉には、とても可能性を感じています。

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【当帰の様子を見る、アミタ持続研の松本さん。】

−当帰栽培は、どうやって始めたのですか?

2011年に南三陸にある約1反の畑で始めました。
葉を使いたかったので、最初から無農薬栽培です。
農薬を使わない分、キアゲハの幼虫などに気をつける必要があります。

当帰は中国より日本の方が品質が良いこと、そして中国産の価格も上がっていることを踏まえると、国産生薬にはまだまだ可能性があると思っています。

では、実際栽培してくださっている農家さんに会いに行きましょうか!

—はい!よろしくお願いします!

ー後半は、こちらから。

アミタホールディングス(株) http://amita-hd.co.jp/
(株)アミタ持続可能経済研究所 http://www.aise.jp/

Written & Photo by Lyie Nitta (tabel)