【Interview】京都市京北と薬草づくり〜サステイナブルな社会を開く、アミタグループの挑戦•後編〜

2015.08.06

前回に引き続き、(株)アミタ持続可能経済研究所(以下、アミタ持続研)の松本洋俊さんに、薬草栽培をローカルのサステイナブルな仕事の一つとして取り組まれていることをご案内いただきます。
ご一緒に当帰栽培に取り組む農家の村山さんの工房へも、訪れました。

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松本さん—村山さんは、(株)KKファームの代表で京北の地の林業兼農家6代目。
 田んぼだった土地で、弊社と当帰栽培に取り組んでくださっています。
 東京で企業に務めた後に故郷に戻り、柔軟なアイデアで外の人からも注目されるような商品を作っています。
 ちょうど今日は、精油の精製も行なっておられるようですよ。

—こんにちは!すごく良い香りですね! 
何の精油を作っていらっしゃるのですか?

杉とクロモジです。
2〜3日前にとってきた枝を 刻んだものから、精油を抽出しています。

松本さん—この精油を抽出する装置も、ご自身で開発されたんですよ。

—すごい!!杉の木材を作るのに、葉が余りますもんね。
 精油は欲しい人も多いので、ニーズはかなり多いのではないですか?

都心部では国産のクロモジ精油は高値で売られていましたからね。
でも、それ以上に山の環境を整えるために、適切な間伐は重要なことなんですよ。
この美しい景色を、子孫の世代まで残したいんです。

山の環境保全のための手入れで生まれた材料で、商品を作っています。
当帰からも精油ができないかも、挑戦しているところですよ。

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【アイデアマンの村山さんと杉の葉】

−アミタさんと薬草の栽培を始められて、いかがですか?

それまでの米作りよりも、ずっと楽ですね。
水も張らなくて良いし、手間も少ない。
90代の母でも出来る作業が多いので、喜んで土いじりをしていますよ。

—それは何よりですね!
 杉の葉も、もっと活用したいですね。杉茶とか、作ってみたいです。

このあたりでは、クロモジ茶や杉の葉茶は普通に飲まれていますよ。
是非、作ってみてください。

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【村山さんと精油工場】

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−農家の方々をはじめ、地元の方ともしっかりつながってらっしゃるのですね。
 改めて町づくりの視点でアミタ持続研の松本さんに伺いたいのですが…
 なぜ、京北に関わりはじめたのですか?

京都市から過疎地対策のための調査を委託されたことがきっかけですね。
今後当社としては、主体的に京北地域の活性化に寄与する事業開発を目指したい考えです。まずは薬草の産地化と商品化を図りながら、ゆくゆくは地域の未利用資源を活用した包括的資源循環システムをつくっていければと思います。

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【緑深い京北の山並み。バスの車窓から。】

—京北は、どんな地域ですか?
林業と米が有名ですね。
古くから天皇の命を受けた職人たちが林業を始め、最高品質の建材として名を馳せる「北山杉」というブランドも生まれました。誇り高き職人たちが働いています。

米どころなので、日本酒も美味しいですよ。
茅葺き屋根で有名な美山の里の手前なので、その道すがら寄りやすい立地なのも利点ですね。

—当帰栽培を始められてから5年目の今、潜在市場の手応えはありますか?

薬膳を好む方や健康志向の方の口コミで、少しずつニーズは増えていると思います。
生産量も増えて来ていますね。
もっと広げるためにメディアでも情報発信をしていかなくてはと思っています。

高麗人参の場合は、根はもちろん、葉も含めて野菜としてのニーズがあります。
国産生薬の文化が10年後に途絶えてしまわないように…まずは食品としての生産に挑戦しています。

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【当帰畑にて、アミタ持続研の松本さんと。】

—国産の薬草を販売する上では、どういった問題点がありますか?
流通が一番の問題ではないかと思います。
大手は新しい食材を扱うのに慎重ですし、今のうちに知財を固めながら、
少しずつ啓発活動をしていくしかないですね。

−今の京北の課題は何でしょうか?

人口減少が進んでいるため、いかにして外からの移住者を増やすかということでしょうか。移住者(定住者)はそう簡単には増えませんので、まずは地域での交流人口を増やすことが重要だと思います。
例えば薬草由来の商品を使って、都市部の健康になりたいという欲求を持つ人々が旅をしにくるような、持続的な観光に繋がるコンテンツを作れたらと思います。その先に、京北の魅力に触れた人々がこの地に定住したくなるような流れが生まれれば良いですね。
いきなり定住は難しいでしょうが、先ずは交流人口が増えるだけでも、まちは活性化するんじゃないかと思います。

今の規模でも地域の役に立ち始めている感覚があります。
実際に、少しずつ人が集まってきていますしね。
わざわざ京北に来たくなるきっかけを、もっと作らなければと思っています。

そして、地域の雇用を増やすこと…
特に子育て世代や社会的弱者になりやすい方々にも、暮らしやすい状況を作りたいです。

−次のフェーズでは、どうなっていくのですか?

地域資源をもっと見直し、宝をいかに見出していくかだと思います。
それは我々アミタグループの理念に立ち返ることになると思います。

−豊かさの基準を貨幣経済ではないところにシフトすることで、街の仕組みも、人々の生き方も、よりシンプルになって無駄なく活かしきることができそうですね。
まさに未来のスタンダードを作っていく現場に立ち会えて、とても感激しています。
貴重なお話をありがとうございました!

>前半は、こちらから。

アミタホールディングス(株) http://amita-hd.co.jp/
(株)アミタ持続可能経済研究所 http://www.aise.jp/

Written & Photo by Lyie Nitta (tabel)

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