薬草の旅 vol.8|会津と御種人参

2023.05.26

会津の空

江戸時代の8大将軍・吉宗の治めた太平の世から、会津に生まれた薬草文化が今でも根付いています。
その時に何がやってきたのかというと、高麗人参の仲間「オタネニンジン」です。
(高麗人蔘には「高麗の国の人参という意味がありますので、日本の品種はオタネニンジンと呼ばれてます)

高麗人参は高価なイメージがあると思いますが、江戸時代もものすごく貴重な薬草でした。そのため栽培すると財力を持つことができ、それが武力にもつながるため、徳川家は自分たちと親しい3つの親藩にしか作らせませんでした。
それが会津、信州、松江です。
会津でも財源であった時代もあり、鉄砲をたくさん買うことができたため、戊辰戦争でも会津は屈強であったと言われており、歴史を裏で支えた薬草です。

数十年前までは200軒を超える御種人参の専業農家があり、独特の黒い幕を張った畑がたくさんあるのが会津らしい景色だったそうなのですが、今は10軒ほどになってしまいました。しかし、想いのある薬屋さんが、盛り上げようと精力的に活動されていることもあり、少しずつ就業が増えているそうです。

御種人参の天ぷら

そんな会津では、御種人参を食べる文化があります。(法律上も食材です)
秋の収穫期には1本まるまるの生が出回り、お蕎麦屋さんでも天ぷらをいただくことができます。
主根(いちばん太い根の部分)はゴボウのような香りと山菜のような優しい苦味、ほんのりした甘さがあってホクホク美味しかったです!
元気がみなぎりますね!
他の街でも生が買えるようになるといいのになぁと、しみじみ思います。

アカツメグサ

余談ですが、お散歩中にアカツメグサを見つけました!
シロツメグサは食べれませんが、アカツメグサは食べられるって、ご存じでしたでしょうか?

※この投稿は2014年のリサーチのリポストです。

 

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新田 理恵 (Lyie Nitta)
TABEL株式会社の代表/薬草使。
管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。日本各地のローカルや海外の伝統ハーブの使い方をめぐり、伝統茶{tabel}(タベル)を立ち上げる。
薬草大学NORMや、オンラインコミュニティの薬草のある暮らしラボなども手掛ける。著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。