薬草の旅 vol.7|長野県木曽福島の薬草と朴葉巻き

2023.05.24

朴葉巻き

以前、木曽町に講演でお招きいただいたときのこと。
実は木曽町は植生が豊かで、織田信長たちが活躍した尾張藩の薬草庫的な位置づけで、採れた貴重な薬草を尾張藩の中心部へと届けてきた歴史があります。
御嶽山(おんたけさん)という、凛々しい山があり、キハダやセンブリなどの薬草も採れた関係で、今でもこの町には製薬会社が数社あります。

はじめの講演は「木曽の薬草を届けよう〜市場(マーケット)と今、ここにあるもの〜」というタイトルで、ちょうどアメリカの震災復興支援プログラムの一環でシアトル短期留学にご招待いただき、学んだことを交えながらのお話でしたが、おかげさまで1年間の連続シリーズになりました!
春から町のみなさんと4aの畑に薬草やハーブの苗を定植し、「レクチャーで商品開発ってどうやるの?」を毎月学びながら、後半では畑のお手入れをみんなで行い、秋〜冬には畑では収穫が行われ、商品も実際にできていく…という実学のシリーズとなりました。
初夏から翌年の冬の終わりまで毎月訪れることで、秋は栗、冬はすんき蕎麦といった、季節ごとに変わる木曽の美味しさや文化をたくさん体験させていただきましたのでご紹介します。

朴葉巻き

木曽では6月から7/23まで、”朴葉巻き”というあんこ入りのお団子が食べられます。
ホオノキの葉で包むのですが、この時期でないと葉が硬くなって巻けないそうです。
写真は、葉っぱが5枚ほどつながったまま巻いてあります。

「笹っこ」と呼ばれるちまきも、関西や関東のいわゆるちまきとは異なる巻き方です。
端っこがちょろっと出ていて「ちょんまげ」の形なのだとか!
とってもかわいいですし、くるみ入りなどいろんな味があって楽しいです。

笹っこは他のエリアと同じく、端午の節句をメインに食べられるのですが、
人気なので葉をたくさん取って置いて年中作れるようにされてるそうです。
意外と日持ちがするようで、一週間は持つそうです。しかも冷凍も可能!
蒸し直しをすると美味しさも復活します!

朴葉巻き

郷土菓子の文化は、知れば知るほど楽しいですね。
忙しいお母さんたちが作り続けて来られているので、シンプルで簡単にできるものも多く、自然を活かし活かされるレシピは、町の宝物ですね◎
そしてまた食べたくなるくらい美味しいので、みなさまも機会があればぜひ(๑´ڡ`๑)

※この投稿は2016年のリサーチのリポストです。

 

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新田 理恵 (Lyie Nitta)
TABEL株式会社の代表/薬草使。
管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。日本各地のローカルや海外の伝統ハーブの使い方をめぐり、伝統茶{tabel}(タベル)を立ち上げる。
薬草大学NORMや、オンラインコミュニティの薬草のある暮らしラボなども手掛ける。著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。