薬草の旅 vol.6|石田三成の腹痛と、村人の慈愛の野生ニラ粥

2023.05.22

大原観音寺

大原観音寺は滋賀県長浜市にある、豊臣秀吉と石田三成が出会ったとされるお寺です。
長浜に住んでいる友人が案内してくれて、訪れました。
城塞と同じように堅牢に積まれた石垣が物語っているかのような歴史もあれば、村の人が熱っぽく語ってくださる生きた歴史もあります。

石田三成は、皆さん御存知の通り、秀吉に才能を見出された戦国時代の武人ですね。
このお寺は、かの有名な、子どもだった頃石田三成と秀吉が初めて出会った場所です。
秀吉が鷹狩の帰りに暑い暑いと言いながらこの辺を通りかかった時のこと。
到着してすぐの秀吉にはぬるめお茶を。おかわりの時には少し熱めのお茶を。もう一服と言われた時にはさらに熱いお茶を淹れてきたことに感心し、「このお茶を淹れた者は?」と、住職に尋ねた時に出てきたのが三成。「この子をもらいたい」という秀吉に、三成も了解したので、

この近くの山奥に石田三成を最後まで守り通した村があります。

戦に敗れ、追われた三成さんを、最後まで守り通そうとしたこの村。
三成さんが腹痛の時には野生のニラを入れた粥を炊いて、癒やしたそうです◎

その村では、その歴史が誇りとなっており、今でも親しみをこめて「三成さん」と呼び、小学校6年生は必ず三成と秀吉の出会いのシーンを演劇にしたり、朝霧の出方も、自然の恵も、全部「三成さんが護ってくれてはる」と、思えるそうなのです。

そこで生えていた野生のニラを分けていただいたので、長浜のお米でお粥を作りました。
野生のニラは、いつものと違いとがった味がなく、
まるくて柔らかいニンニクみたいな香りがして、芳しく、元気が出るようでした。

■大原観音寺
Address:〒521-0223 滋賀県米原市朝日1342
http://www.zc.ztv.ne.jp/kannonzi/

※この投稿は2017年のリサーチのリポストです。

 

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新田 理恵 (Lyie Nitta)
TABEL株式会社の代表/薬草使。
管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。日本各地のローカルや海外の伝統ハーブの使い方をめぐり、伝統茶{tabel}(タベル)を立ち上げる。
薬草大学NORMや、オンラインコミュニティの薬草のある暮らしラボなども手掛ける。著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。