【Interview】千葉県君津市のクロモジ収穫と雨城楊枝製作体験 〜 鹿野山・森の里(君津市森林体験体験交流センター)〜

2021.05.22

こんにちは。tabelのなべです。

 

みなさんは、クロモジの楊枝を使ったことはありますか?
上質な和菓子などに添えられている楊枝は「黒文字」と呼ばれ、素材もその名の通りクロモジの樹から作られています。
千葉県では昔から伝統的工芸品として「雨城楊枝(うじょうようじ)」というクロモジの楊枝を作る文化と手仕事があります。クロモジは殺菌効果もある薬草なので、楊枝にぴったりなんです。

 

今回は、千葉県君津市にある鹿野山へ登山し、雨城楊枝製作認定者平田 浩造

さんにクロモジの生態や収穫の仕方をお伺いしました。その後に、クロモジの蒸留や雨城楊枝の制作体験もさせて頂きましたので、そのレポートをお届けします

九十九の谷が連なり、絶景が広がる鹿野山の山頂

 

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(なべ)雨城楊枝はどんな楊枝なんですか?

 

(平田)まず、「雨城」というのは地域名ではなく、ここ、君津市にある久留里城の別名です。三日に一度雨が降ると言われるほど、雨が多いエリアだったので、そう呼ばれる様になりました。その久留里城の武士たちが、戦がない時代に仕事が無くなったので、自生していたクロモジをつかって楊枝を作り始めたのがはじまりです。


現在では千葉県指定伝統的工芸である雨城楊枝は、巧みな細工と品の良さからお茶席や日本料理店で利用されてきました。またご家庭で「この楊枝で和菓子が食べたい」と言われる粋な道具として知られています。100年ほど前は、500軒ほどの家が楊枝づくりをしていたとも言われているくらい、大きな産業でした。大正時代には当時の価格で7000万円以上の売上があったそうです。クロモジの木は雪や風があると曲がって育つので、温暖な気候の君津で育ったクロモジは、楊枝づくりに最適だったんですね。

今では竹の楊枝の輸入が増えたこともあってなかなか売れなくなり、雨城楊枝を作れる職人も数えるほどになっています。

 

楊枝としての特徴は、普通の竹の楊枝は鉛筆のように鋭いけど、雨城楊枝は先端を四角く加工しているから、歯茎に優しいのです。

飾りの美しい楊枝は「細工楊枝(さいくようじ)」と呼ばれていて、明治時代に森家がつくり始め、現在は4代目が制作しています。昔は一子相伝だったのですが、私も10年ほど前から教えていただけることになりました。楊枝を削る道具作りや、枝の収穫まで全てを自分で行います。

よし、それでは、一緒に山で材料を調達するところから始めましょうか!

(なべ)はい!

フィールドワークの準備を整えて、さっそくクロモジを収穫するために山の中へ。
山の持ち主さんに入山と収穫の許可を得てから、入っていきます。

クロモジ以外にも多種多様な植物が生育する山の中で、すぐにクロモジを見つけては手際良くクロモジを収穫していく平田さん。

株元から少し上を残してノコギリで切っていきます。ノコギリで切った後に細かい枝をナタを使って落としていき、杖のような綺麗な一本の棒にしていきます。

 

(なべ)収穫するクロモジはどうやって選んでいるんですか?

 

(平田さん:以下、平田)楊枝に加工することを想像して、形と太さを見極めてクロモジを収穫することが大切です。後は若い芽が、まっすぐ伸びるのを邪魔しないように古い枝も切ったりします。

枝の切り方も人によって違うので切り跡を見れば、誰が切ったかも分かるんですよ。

(なべ)クロモジの収穫に適している時期はいつ頃からですか?

 

(平田)10〜3月頃が採り頃です。4月以降は樹が成長する為、樹皮がはげてしまいます。ですので、爪楊枝に加工する為にはこの時期に収穫するのが一番適しています。

クロモジの収穫を終えて、鹿野山を下山。

雨城楊枝の2箇所しかない販売場所のひとつ、森の里(森林交流体験センター)へお伺いし、その中にある研修室をお借りしてクロモジの蒸留と雨城楊枝の製作体験をさせて頂きました

森の里(森林交流体験センター)は、久留里ならではの展示品が見られるロビー、様々な工作が体験できる研修室、ジビエ料理やシフォンケーキを食べることができる食堂、いろいろな活動ができる炭焼き窯のある中庭、離れの東屋、広い駐車場など、盛りだくさんの施設になっております。

枝・葉を蒸留釜に入れて、両手を使い上から圧をかけていき上部スレスレまで詰めていきます。今回は2.5kgのクロモジを使い、井戸水を入れて蒸留しました。クロモジの清涼感ある香りが部屋いっぱいに広がりました。

約1時間半経つと蒸留されてきましたが、最初の50mlは不純物が混じっている為、捨てます。

蒸留を待っている間に、雨城楊枝の製作体験をさせて貰いました。

まずは、楊枝に加工するクロモジの枝を水洗いします。

(なべ)水洗いすると黒っぽかった枝が緑色になったのですが、何故ですか?

 

(平田)元々、油分の強い樹なので、樹皮表面に油分が出てしまい汚れを集めてしまうんです。なので楊枝に加工する前に必ず水洗いを行い、よく乾燥させます。乾燥させる期間は約1ヶ月くらいです。乾ききってしまうと、歯が立たないくらいに固くなってしまうので、乾燥しきっていない柔らかい内に、楊枝に加工してから完全に乾燥させます。

短い楊枝だけど、何ヶ月もかけて作っているんですよ。作りたてが一番、香りも状態も良いので、お茶会の日に合わせて削って送っています。

 

作業場へ戻り早速楊枝作りを始めます。

(なべ)立派な削り台ですね。何の樹を使われているのですか?

 

(平田)削り台には重量のある欅(けやき)を使っています。クロモジを乗せる為の出っ張りの部分は、当たった時に歯を痛めないように松とか杉で作ります。先代が考案した削り台です。

 

(なべ)楊枝を作る際に気をつけていることはありますか?

 

(平田)削った時に白い部分と木肌の部分のコントラストをいかに出すかです。もえぎ色と表現していますが、この皮の少し深い部分の黄緑色をいかに美しく出すかが大事。