【Interview】上勝町阿波晩茶〜後編〜 武市農園さんに聞く、阿波晩茶の作り方

2015.06.27

—日本へお茶が伝来した頃、四国の山間部にもお茶が植えられはじめ、ミャンマーなどからお茶を発酵する文化も到来して作られ始めました。
現在、日本では右手で数えられるくらいしか残っていない発酵茶の一つである阿波晩茶。
産地としては徳島県の上勝町、相生町などが有名ですが、今回は上勝町の武市農園さんを訪れて、お話を伺いました。

ー上勝町って、すごく広いですね。びっくりしました。

上勝町にもいくつかのエリアがあり、武市農園は神田(じでん)という地区に位置しています。
山間の急斜面がかなり多い上勝町の中でも高い所(標高700m)にあり、神様(天)に近い田んぼという意味で「神田(じでん)」という地名になったそうですよ。
地域のブランドを作るために、「神田茶(じでんちゃ)」という名前で販売もしています。

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茶の樹は中国から伝来して、昔からこの地区にも植わっていました。
武市家でも明治時代から農園として少しずつお茶を作っていましたが、先代がヤブキタ種をたくさん増やしたようです。

昔から無農薬栽培で、肥料も必要に応じて鶏糞や油かすから作ったものを追肥しています。
茶の樹は強いので、年間を通しての手入れは、雑草を抜くくらいですね。

収穫量は年によって差がありますが、一年間で約400kgの阿波晩茶を製造しています。
去年は雨が多かったので少なめでしたが…
摘んだお茶は、全部阿波晩茶にしています。

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—阿波晩茶は、日本でも数少なくなってしまった貴重な発酵茶ですよね。
 どうやって作ってらっしゃるのですか?

作り方は…
①茶摘み(7月上旬)
一年のサイクルは7月頭の暑い時期に茶摘みを始めるところから始まります。
枝をしごいて葉っぱだけを人の手で摘んでいきます。

12~13人のバイトさんに来てもらい、2週間ほどかけて収穫します。
みなさん熟練のシルバー世代なこともあり、暑さも厳しい時期なので、枝ごと切ってきて小屋で摘むなどの負担を軽減するやり方をさぐっている所です。

②釜ゆで
柔らかくするために、サッとお湯で茹でてザルで上げます。

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③揉む
昔は船型の桶に入れて、手で押していました。
今は柔撚機(じゅうねんき)という専用の機械で揉んでいます。
茶葉を入れた丸い部分が回転し、下の溝で揉まれ、重しの圧力がかかっているので上の方まで全体的に撚ることができます。

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④漬ける
木樽に茶葉を敷き詰め、②の釜ゆでした時のお湯を注いで空気を抜きます。
うちでは芭蕉の葉をフタがわりに敷いてから、重石を乗せます。
すると、嫌気発酵がじわじわ起こり、24時間でぶくぶく泡が出て来ます。
そのまま2~4週間、ゆっくり寝かします。
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⑤干す
むしろの上に広げて2~3日しっかり干します。
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(⑥夜露にあてる)
この行程は作り手によって、する人としない人がいます。
武市農園では夕方にビニールハウスを少しあけ、夜露に当てています。
そうすることで、カリカリに乾燥した茶葉に適度な湿度を持たせ、葉が衝撃で壊れるのを防ぐことができるんです。

こうして約2ヶ月ほど経った9月頃には出荷ができるようになっていますね。

木樽

ー樽も、年月を重ねて良い色に染まっていますね。
 良い乳酸菌たちも、ここに住み着いているんでしょうね。

ええ、自宅用にプラスチックの容器で漬ける人もいますが、
やっぱり木樽は風味が違うと思います。

でも、昔は町内に2人いた木樽職人さんも作れなくなってしまい、
修理も出来ないので、去年漏れて来た木樽は針金で応急処置をしました。
竹締めは、技術がいるので一般人ではできないんですよね。

ー醤油の巨大な仕込み樽も、もう日本では大阪の一社しか作れないそうなんですが、
 そこも2020年に会社を辞めると発表したそうです。
 道具から順番に無くなってしまうのは、多くの伝統産業に共通の問題ですね。

木桶ももう新しい物が手に入らないから、農家さんもみんなプラスチックになってますね。
水なら問題ないんでしょうけれど、発酵ものはやはり影響するでしょうね。

天日干し用のむしろも編めないですし…
道具を大事に使わないと。。。

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ー道具の作り方を、学び伝えることも急務ですね。
 薬草リサーチをしながら、作れる方を探してみます。
 ちなみに、阿波晩茶は、どういったものが良いとされるんですか?

うちでは、お茶の大きさで5段階の等級を作っています。
小さめの葉が、急須に入れやすくて使いやすいので一番上等。650円(60g)で販売しています。
大半の枝を風選機で飛ばして分け、大きい物や粉に近い物、枝などを手作業で選別していますよ。

ー 晩茶は大きく育った頃に摘むから、小さい方が扱いやすいのですね。笑
 それでは最後に、神田茶は、どういったことが課題ですか?

茶摘みの人手がほしい…というのも、もちろんありますが、
まだまだ徳島県内でも認知度が低いので、ちゃんと知っていただけるようにしたいです。
現状は徳島県の南部でしか知られていないのではないかと思います。

ー武市農園の神田茶(阿波晩茶)は、勝浦の産直などで販売されていますね。
 私も、買いに行きます。笑
 また上勝にも阿波晩茶のことを知るのも兼ねて、お手伝いにも来たいです。

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—武市さん、そしてご案内くださった百野さん、どうもありがとうございました!

>上勝町阿波晩茶の卸や商品企画を行なう、「上勝町阿波晩茶〜前編〜いろどり晩茶生産組合さん」の記事はこちら

Photo & written by Lyie Nitta (tabel)

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