【Interview】徳島県上勝町の阿波晩茶〜前編〜 いろどり晩茶生産組合

2015.06.27

ーみなさんは、阿波晩茶を飲んだことはありますか?
もう日本では4つしか残っていないと言われている、貴重な発酵茶の一つです。
緑茶と同じチャノキの葉を乳酸菌に発酵してもらうので、
漬物のような独特の香りがあり、クセになる美味しさ。
阿波晩茶は特に阿波(徳島)の西側山間部の各家庭でも作られており、商品の産地としては上勝町や相生町が有名です。

地域おこし協力隊として大阪から移住した百野さんは、阿波晩茶の商品を作っている「いろどり晩茶生産組合」で、PRや商品企画のお仕事をされています。
百野さんに、阿波晩茶のことをじっくり教えていただきました。

ー阿波晩茶って、一般的な番茶と違う漢字を使うんですね。
どういったお茶なんですか?

晩茶と呼ばれるのには2つ理由がありまして、一般的な茶摘みが八十八夜(5月上旬)頃から始まるのに対して、7月頭という遅い時期に大きく育った茶葉を摘むこと。
そして発酵をしてじっくり熟成させることから、「晩」という字を使います。

乳酸菌が嫌気発酵して作るので、密封して2週間ほど寝かせます。
独特の香りがつくのと、2~4週間漬け込むことでカフェインが抜けていき、緑茶の1/3のカフェイン量になります。
低カフェインであること、そして阿波晩茶から薬効成分が色々見付かって来ているので、健康茶としても人気が出て来ました。

昔から各農家さんの家庭で作られ、それぞれ味が違いました。
上勝町でできる阿波晩茶全体量の中で、商品用に作るものが半分。
残り半分は自分たちが普段から飲む用として作られています。

徳島で「ばんちゃ」と言えば、この発酵茶が出て来ますね。

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ー阿波晩茶は初めて飲むとびっくりする味わいですが、クセになりますよね。
徳島へ来たら毎回買うくらい大好きなので、東京でペットボトルを見かけた時は嬉しかったです。
都会に住んだ経験のある、若者ならではの商品企画だと思いました。
百野さんような若手は、たくさん関わっていますか?

作り手の平均年齢は65~70歳で、やはり高齢化を迎えています。
しかし、武市農園さんのように30代の跡継ぎがいるところもあります。
お茶摘みの時が一番忙しく、人手が足りないのが一番の課題ですね。
毎年おなじみのバイトさんが来てくれるのですが、その方たちも若手に来てもらえたり、後継者を育成する場を作ったりしなければ…と、思っています。

手入れされていない茶畑も至る所にありますので、人手があれば伸びしろはまだありますね。
自分たちが飲むためのお茶の延長で商品も作っているので、昔から農薬は使いません。
肥料も、2月に土の様子を見て、必要であれば最低限の有機肥料をまくくらいです。

現在、いろどり晩茶生産組合では5~6軒の農家さんから茶葉を買い取って商品にしていますよ。
人気なので毎年売り切れて、色んな農家さんの所に余ってないか探しに行ったりもしています。笑
では、実際のお茶農園を見に行きましょうか。

—百野さんが親しくされている晩茶農家さんのお一人、武市さんをご紹介くださることに。
ご一緒に茶畑や、晩茶作りの工場を案内してくださいます!続きは、後編で。

>「上勝町阿波番茶〜後編〜 武市農園さんに聞く、阿波晩茶の作り方」につづく

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いろどり晩茶生産組合
http://www.irodori-bancha.com/
阿波晩茶の茶葉、ペットボトル茶、加工品などを企画販売している。
徳島県内はもちろん、東京などの都市のショップでも購入できます。
詳細は公式HPでご覧くださいませ。

Spoken by Daichi Hyakuno from いろどり晩茶生産組合
Written and photo by Lyie Nitta(tabel)